がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

散歩(復)

人間である以上、全てを知るということは不可能です。例えばある場所の地図を手に入れたとしても、おおまかにルートが記されているのみで、あそこの角に野良犬がいる、ここでは虫が多くいる、そのようなことは地図のみで計り知れるものではありません。実際にその場所を歩き、匂いをかいで、空気を吸うことが必要になります。


そうすれば、思いもかけないものに出会うでしょう。空を飛ばないゴミを漁る鳥、首輪をつけた野良犬、目にも留まらぬ速さで腕にぶつかってくる虫のようなもの、荒れ果てた工事現場、敷地内にある建物、その中にもう使われなくなったカビの生えた資材。


犬も歩けば棒にあたるという諺の通り、見知らぬ所を歩けば何かにぶつかることもあります。知っている所を歩いてもぶつかったりするのですから、なおさらです。


本を読んで知るのみでなく、実際に体験してみることもまた重要なことなのでしょう。そうすれば、本では分からないもの、感じ取れないものも頭や身体に入ってくるのでしょう。


そんなことを考えた暑い日のことでした。