メル・ギブソン監督。キリストが兵士達に捕まり、冒涜者の汚名を着せられ拷問を受けた挙げ句にゴルゴダの丘で磔にされるまでの最後の一日を描いた作品。アメリカではあまりの衝撃性で規制され、中には心臓麻痺で死んでしまった人もいるとかいないとか。
全篇を通してキリストは迫害されていますが、これほどまでキリストが邪険にされ、キリストの聖人像を描いた映画を観たことはありません(というか他にキリストの映画ってあるのだろうか)
また、キリストだけでなく母のマリアや弟子達の葛藤、キリストを売り渡したユダが見たものなど、周囲の人間全てが映画を形作っているとも言えます。人間であり、人間以上のものになれなかったペテロ、銀貨でキリストを売ったユダの罪悪、預言者であり王であり息子であるキリストに接するマリアの心情、何度も何度も観返してこそ面白みが出てくるのだと思います。
惜しむらくは、聖書を読んでいないといまいち内容を掴みにくい所。ユダやマリアならば分かりこそすれ、ヘロデ王や大祭司のところまで来ると何とも、首を捻ってしまいます。作品中のモチーフ(ラマの死体、髪の無い男など)も掴みにくいのが残念。
とはいえ、その他の面では是非ともお勧めできる映画なので、鑑賞されることをお勧めします。衝撃的なシーンが多いので、心臓の弱い方にはおすすめできませんが(笑