4月! 新学期や新年度に入りました。それはいろいろなものが始まるし終わるし体の調子を崩すしイベントの裏方や雑用として参加して「足の調子がヤバいぜ!」となった月であり、内科で抗生物質をもらいながら4月に突入しました。ウオオオ! このまま行きます!! 転ぶまで走ります!! 書評もします!!
あと先日こちらのイベントに裏方として参加しました。
『これは経費で落ちません!』
青木祐子『これは経費で落ちません! 8 ~経理部の森若さん~』集英社オレンジ文庫、2021
主人公である森若沙名子(もりわか・さなこ)が勤めるトナカイ化粧品は天々コーポ―レーションの買収に成功した。しかし経理部に増員はないため経理部員である沙名子は残業続きだ。それに加えて元トナカイ化粧品の従業員が不審な行動を起こし、会社の宣伝ブースを出したら彼氏である山田太陽(やまだ・たいよう)の元カノが来て沙名子はビビる。タイムカードのごまかし、経費の不必要清算、出張中の彼氏の襲来など、放っておけば大火事になる不祥事を取り除くべく沙名子は奮闘する。
たまには新しいジャンルに挑戦してみるか~! と思って購入したのがこちらです(本屋にちょうど8が置いてあったんですね)。ナンバリングは8ですが、1や2を読まなくてもスラスラと理解できるのは作者の文章技巧の賜物です。一部過去の事件とかかわる場所もありますが、そこは今後……読んでいきます!
シリーズは現在で13巻まで発売しており、かなり安定して読める印象があります。会社経理の勉強になる……ところもありますし、主人公である沙名子がブレない性格のおかげか、読み口としてかなり読みやすいです。
彼女は経理部員だけあってロジックが強いというか、「あなたの話だとこうなりますけど、それって数字の辻褄が合いませんよね? なので本来はこういう状況だったのでは?」と探偵さながらのスタイルで謎に迫ります。お金の厳しさはどこでも変わりない!
出された領収証に不審な点があれば突っ込むし、伝票に不備があったら自分の力が及ぶ範囲でやりくりする。そういう沙名子さんはキビキビとしてロジカルなのですが、彼氏(山田太陽)が出てくると急にムキになる。明らかにロジカルでなくなる。特に太陽はいま出張しているため、たまに彼の顔を見るとホッとする。でも東京に帰ってきたときに家を宿泊所代わりにはされたくない。太陽とはビデオ通話で夜にやりとりしているが、沙名子はマニキュアを塗りながら適当に太陽の相手をする。俺森若さんのこと……好きかもしれない……
昭和、大正にこの手のジャンルは成立しなかっただろうと思うと、時代の変遷を感じられて面白いです。男性を主人公にするとアクションが入る可能性が出てきますし、主人公が学生では会社関係の厄介ごとは書きにくい(出張や配置換えもありますしね)。絶妙な位置取りだと思います。
また、文章もかなり読みやすくてスラスラ入ってきます。沙名子さんは物事をスパッと断ち切って読者に提示してくれるし、謎があっても仮の結論を出してくれるのでついていきやすい。エンタメ的な良さがあるというか、探偵的なロジカルさで謎に接近するので、爽快感もあります。
令和における仕事のやり方……を勉強する意味で読んだのもありますが、仕事自体は紙の書類を使う、ブースを作ったら試行錯誤しながら組み立てる、経費処理のために議論する……と、割とどこにでもありそうな会社のやり方でもあります。人間関係のイザコザも入っているので、空気の勉強にもなりました。
そしてシリーズの最新刊では、森若さん……産休です!!!!! 早く帰ってきてください!!!!!!!
『モンスター娘TD ボクは絶海の孤島でモン娘たちに溺愛されて困っています VSラシオン騎士団編』
竹井10日『モンスター娘TD ボクは絶海の孤島でモン娘たちに溺愛されて困っています VSラシオン騎士団編』ファミ通文庫、2022
あらすじ半分:神はまず可愛い少年をお作りになられた。大地は神の手で少年をその場に置かれ思った。『少年ありがたい』『丁度切らしてた』『泣ける』と。そんな次第で、母なる大地は少年を生み出し、少年の世話をするためにたくさんのモンスター(後のモンスター娘)を生み出した……
「もうこれでどういうノリか分かりますね?」というあらすじです。この小説ではノリノリのギャグがいつまでも炸裂するし、漫才のような掛け合いが続き、仲間(たまに敵もいる)美少女キャラクターが十五人……たくさん登場してワチャワチャします! 道中ややシリアスなところもありますが基本的にオールタイムギャグです。あと小説には基本的に猥雑がないんですが、いやちょっと……単語が……あと、ゲームのほうは各自で状況判断してください!
神話時代のあらすじは上に書きましたが、ストーリーの概要をパッと説明すると、絶海の孤島ゲシュペンス島に流れ着いた少年エミリアムは、獣神であるヴィヴィヴァーチェ(通称ビビ神)に助けられる。その後エミリアムとビビ神はあーだこーだいいながら島を探索し、スライム娘リンやサキュバス娘クロミなどと出会いつつ、島を狙う密猟者やエミリアムを狙う者たちと戦う……というものです。
また、同名のタワーディフェンスゲームがリリースされています。ジャンルはTDですが難易度が高くなく、強い人のキャラも借り放題なので初心者にもオススメできます。そのため小説→ゲームをプレイするも良し、ゲーム→小説を読むも良し、となっています(プロヘメを観るの先か、読むのが先か、みたいな話ですね)。
ただこの小説、運営型ゲームの例にもれずキャラクターが数多く登場するので、名前を覚えるのに苦労します! 特に中盤から登場するデュラハン娘プラチナなどは、挿絵が挟まれてない上に、外見の説明や人物紹介が特にないので「えっ……デュラハンということは鎧でガチガチ……髪型は? 服装は? スカートなのか?」と読者が混乱するかもしれません。ゲームではシナリオとともにキャラの立ち絵が出てくるので、漫画を読む感覚で馴染むことができるのですが、小説のみではこれは厳しい。この場合はゲームをプレイしてから本を読むほうがイメージしやすいかもしれません。
ゲーム本編に話を進めると、長寿になったソシャゲよろしくいろいろ広がっています。宇宙から敵が侵略してくる宇宙人イベントが開催されたり、主人公が旅をする西遊記編みたいなことになったり、なぜか現代で教師になっている学園編も発生してます。ほかのゲームともコラボしていますが……この辺は人気が出ればスピンオフ小説としてどんどん拡張されるかもしれません。
あとこのゲームでは美少女が数多く出てきますが、一番の萌えキャラは主人公エミリアムじゃないかと思います!!!!! ゲームの話に戻るんですが、基本的に【島を探索する→モンスター娘が暴れている!→モンスター娘が襲ってきた!】という流れなんですが、たまに主人公ががっついて「うおおおお密猟者さんたちを襲います! 皆さん手伝ってください!!」という展開があって、いままで受け身だった人が主導的になる展開って面白いんですよ!!
ちなみに公式の動画でモンスター娘たちがラップバトルをしてるんですが、なんか……聞いていると中毒性があります! キュワキュワキュワキュワ! お時間ある時に一度聞いてみてください!
『艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆3、4』
内田弘樹『艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆3』富士見ファンタジア文庫、2014
内田弘樹『艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆4』富士見ファンタジア文庫、2015
ソーシャルゲーム『艦隊これくしょん』を基にした戦記小説。主人公は空母の瑞鶴、翔鶴などの五航戦中心で、舞台は同ゲームで2014年夏イベントとして開催された「AL/MI作戦」。海上封鎖を受けている友軍救援のために立案された「AL/MI作戦」、過酷な二正面作戦で艦娘たちが傷ついていく中、瑞鶴はあくまで未来を掴もうと前へ進む。
普段は独立したお話なんですが、今回は3と4で連続しているので、上下巻ということで一つ。「AL/MI作戦」の立案から作戦計画、関わっている艦娘たちがどのように戦いに身を投じるかが描かれていて面白いです。
作品はまさに戦記小説で、かつて日本海軍が有していた大和田通信所やレーダーピケット艦戦術、他にも軍事用語が散りばめられており、ゲームに異なる側面から光を当てています。ゲーム中では装備品として登場する「三十二号電探」や「流星改」も出てきます。
また、鎮守府の食堂は「豊川」という厨房なんですが、元ネタが気になるところ。ググったら「陸上自衛隊豊川駐屯地のグルメ情報」という情報が出てきましたが、はてさて。
キャラクターとしては過去史上最多のキャラたちが活躍します。主人公を務める航空母艦瑞鶴はもちろん、姉である翔鶴から、飛龍、蒼龍、舞風、赤城、加賀も登場する他、駆逐艦や軽巡洋艦大淀、深海棲艦側でもかなりの数が出張ってきます。2014年で考えれば殆どフルメンバーの装いであり、多数のキャラクターが入り混じる群像劇が面白い。
話のコアとしては、史実で起きた「AL/MI作戦」に艦これの世界で出撃しつつ、どのように成功させるかに頭を悩ませます。今巻のメインとして掘り下げされている艦娘は二航戦である飛龍と蒼龍ですが、彼女たちは史実としてのミッドウェー海戦の敗北と自分が轟沈した記憶を持っており、今回の「AL/MI作戦」でも大きく議論します。改造・改二などのゲームシステムを取り入れつつ、二人の意見が嚙み合わずにすれ違うことも。
また、電探や砲雷撃戦などの用語は旧日本海軍を踏襲しつつも、艦娘が使う電子パネルやレーダーなどの電子機器が違和感なく出てくる様が面白い。艦これ世界に現実をあまり突っ込むのは野暮ってもんですが、今後はドローンとかHIMARS(ハイマース)を出すとしたら、扱いはどうなるか気になります。
個人的には、敵攻撃隊からの攻撃を駆逐艦舞風のレーダーピケット艦戦術によって防ぐくだりが面白かったです。艦攻や電探を操るのは艦娘でないとできませんが、ステップを踏みながら攻撃隊を指揮するスタイルを取れるのは、人間の身体と駆逐艦の能力を備えた舞風でないと不可能なやり方でした。面白かったです!
今回は以上です! 次回は……読書会で書き溜めていた感想も書きたいですね! あと、この前投稿した『マジでやってんだ』の感想戦も執筆したいところですが、時間がない! 書くしかない! よろしくお願いします!
《終わり》