今回から2004年、GONZOさん作品の『巌窟王』をレビューしてみようかと。全部で十二回の予定になっております。
第一幕『旅の終わりに僕らは出会う』:月面から、物語は始まる。
時代は未来、場所はルナ。若さに溢れながら、同時に豪奢な生活に飽きを覚えていた貴族アルベールは、親友の貴族フランツと共に、月面に設置された都市、ルナで遊んでいるうちに、モンテ・クリスト伯爵という人物に出会う。
ジンと染み入るような一話目でした。光と華と奢が乱れ飛ぶイルミネーション。突飛な服装。突飛な雰囲気。何もかもが観る人間を置き去りにしていくと同時に、いつしかその渦中に巻き込まれ、気付いたら背景の一つとして、置物の一つとして、彼らの一挙手一投足を観察してしまうような。心を捕まえ、するすると、音もなく引きずり込んでしまうような快楽の園。特に『異』を衒ったような人々の服装は何かしらを抜かれるようでした。尻子玉とか。
同時にドギツくも、濃厚な味わいを体の中に残してくれるキャラクター群。今回はアルベール、フランツ、それから伯爵と女のコ(ほぼラストでの登場ですが)が主となっていますが、伯爵の挙動が非常に素敵すぎて虜になっちゃいそうです。なんというアダルトさ、そして内に秘めていそうなダーティさ。
幾つかの山と谷を超え、訪れるクライマックス。アルベールの運命はどっちだ!
第二幕『月に朝日が昇るまで』:疾走、迷走、狂奔。
前回ラスト、誑かされて盗賊に囚われてしまったアルベール。事実を知ったフランツはルナ中を駆け巡るが、事態は既に彼の手に負える代物でなくなっていた。とうとうフランツは観念し、伯爵に助けを求める。
捕らわれたアルベールの思慮と、必死にルナを駆けずり回るフランツの話。
如何にしてフランツがアルベールを想うようになったのか、そしてどれほど彼がアルベールを考えているのか。そうした何らかの慕情を含んだ友情は物語に起伏を生じさせ、より遠くより強く跳ねるのを助けてくれます。ちなみにここでも伯爵オーラは全開で、彼が乗ってる黒馬が非常に格好いいんですが、きっとあれは馬の皮を被った異性物。この世界、生物の改造は禁じられてるんでしょうか。馬プラス機械とか、伝説種の創造とか。
伯爵が盗賊の首領の前で見せた【眼】と、馬車内での彼の行動から、何かしらの種を読み取れる話。彼らが次に出会うのはおそらくパリ、そして再会はきっと鮮烈なものであることでしょう。
最後に一言。
ペッポ男かよ!!
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