がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

巌窟王、2004

第十三幕『エデ』:縁へ縁へ、淵へ淵へ。
 伯爵を逮捕しようとしたヴィルフォールモンテ・クリスト伯の罠にかかり失脚、地位や家庭を失い伯爵を憎悪するようになる。フランツは夜会の際に眼にした紋章の、それが意味する巌窟王の招待を探るべく、友人どブレーの助けを借りて内務省へと潜る。アルベールは伯爵を求めて屋敷を訪れたのだが、モンテ・クリストの代わりに会ったエデから、彼女の過去を、その影を知ることになる――惑星ジャニナの王女であったことを。地球の謀略により国を追われ、奴隷へとなったことを。伯爵に買われたことを。
 登場人物らによる行動により、ある種の群像劇と化してきている今回。『巌窟王』という単語自体にも切り込んだ話が展開されますが、真相についてはうまいところで糸を切られてしまう印象が。エデによる語りはなんとなく物足りない感覚もありますが、この後明かされる話も合わせれば、ちょうど良いのでしょう。姫君であったエデの境遇にハンカチを隠せませんが、奴隷時のデザインが非常に可愛いのでどうしましょう状態。犬に例えてみれば、棄てられたラサ・アプソといったところで。ディスクに刻印されている絵もまた良好。
 どん底に落ち込んだり伯爵に拾われたりしてますが、エデは元気です。


第十四幕『さまよう心』:未だ、浮上を知らず。
 凶行に及んだヴィルフォールは居合わせたアルベールによって阻止され、逮捕された。彼は警察に連行される間際、アルベールにも、同様の災いが訪れると予言した。ある日アルベールは、友人である記者ボーシャンから父親フェルナンの過去、そしてカドルッスという名を聞き、廃墟の教会での出来事を思い出し動揺する。時同じくしてユージェニーがアンドレアと婚約するニュース、親友フランツが彼を置いて旅に出るという話を聞き、とうとう精神的に破裂してしまう。とうとう精神的に破裂してしまう。そんなアルベールを包み込み、深宇宙旅行へと誘う伯爵。その頃エデは、議会演説を行なっていたフェルナンの元に向かおうとしていた。
 前半にアルベールの元を訪れたマクシミリアン(手配されていた筈ですが、ヴィルフォール逮捕のためか、有耶無耶になったようです)に対する表情と、後半との表情の対比がなんとも格別。少年の情熱を、どこまでも醒めやらず、どこまでも混乱していく想いをその目で見ているかのようです。そして傷心のアルベールを慰める伯爵が素晴らしく男前なので、多分こんなダンディフェイスで迫られたら誰でもキュン死するのではないかと思えます。違いますかそうですか。
 また、伯爵に抱きとめられたアルベールとはある意味対極にいるユージェニーの姿も何かしら溢れるものでありました。父親と喧嘩した彼女は屋敷を飛び出し、さまよった挙句に自宅へと帰らざるを得ないのです。アルベールとユージェニーを指したものがタイトルと成っているようですが、ユージェニー単体に注目してみるのも良いかもしれません。それにしても純粋そうな瞳だ…………
 それにしてもペッポさんの出番が本格的に少なすぎて暴動が起きそうです! もっと! もっとお嬢を! メイド服でもいいから! いやむしろそっちの方がいいですから!
 最後の切りでタンカを切っているようなエデ嬢は素敵でした。カリスマスキルとか持ってそうです。祈りスキルとか、あとライブスキルも。

巌窟王 Blu-ray BOX

巌窟王 Blu-ray BOX