某久慈光樹御大は仰いました。曰く
素晴らしいっ。そんな惚れ惚れするような貴方の背中についていきます(※1,久慈さんにはこのサイトの存在は伏せています)(※2,なんかとっくのとーにバレテタみたい。ゆーるーしーてー 5/14)。
今朝のあさぺーぱー
近頃、やけに目覚めが良い。
レースのカーテンの向こうに見える、腹が立つくらいに蒼い空を見上げて、あたしはそんなことを考えた。
「あ、お姉ちゃんおはよう。今日も早いんだ」
リビングに降りると、椋がエプロンを脱いでいるところだった。
「うん。受験も近いし、そろそろ授業もサボってられなくなってきたからね」
「そうだよね。お姉ちゃんは私なんかよりずっと頭が良いんだから、真面目に勉強すれば今からでも十分合格できるよ」
あ、ところで、今日は一緒にバスに乗ってくれないかなぁ。そういって微笑みかける椋に、んー、やっぱりあたしはバイクと答えて洗面所に向かった。
あたしって、女っぽくないのかなあ。
答えの決まっている問いを、口に出してみる。
そうやって判りきった答えを確認していくと、鏡に映った自分の長髪が無性に腹立たしく思えてきた。
こんなもの邪魔なだけだし、切ってしまおうか。
そんなことを考える自分に、余計腹が立った。
あたしは鏡に向かって、ニヤッと思いっきり酷薄な笑みを浮かべてみせる。
そうすると、粟だった心が自然と落ち着いた。
嫌な考えは頭の中からすぐに消してしまえばいい。
そんな考え方も、あたしが女っぽくない理由の一つなのかも知れなかった。
「たまにはバスも良いよね?」
「別に、あたしはバスが嫌いってワケじゃないんだけどね……」
別に嫌いじゃなかった。むしろ、時間に余裕があるならバイクの方がよっぽど不便だった。
そんなわけで、最近妙に押しが強くなってきた椋に頼まれると、断る理由もなかったのだ。
それにしても、今朝はいつにも増して押しが強すぎる気がしたけれど――
「椋、昨日何か良いことでもあった?」
ぼんっ!
妹の頭が盛大に爆発した。
「あ……わわ、…べ、別に何にも無かったよ…」
ああ、そういうことか。
「と、朋也くんとは恋人同士だし、その、恋人だったら色々とすることはあるけど、でも私と朋也くんの関係は健全で、そんなお姉ちゃんが思ってるような……」
「ふぅん。良かったじゃない」
「えっ?」
「あいつと上手くいってるんでしょ。もうあたしが手を焼くこともないわね」
「う、うん。そうだけど……で、でもお姉ちゃん…」
「?」
近頃の椋にしては珍しく、なんだか妙に歯切れが悪かった。
「ほらっ、言いたいことがあるならハッキリ言う」
「……あ、あの、訊かないんですか?」
「訊かないかって、昨日のことを?」
こくんと小さく頷く。正直、かなり拍子抜けだった。
「あのね、さっきも言ったけどあんたとあいつが仲良くやっているなら、別にあたしがしゃしゃり出ることなんてないじゃない。それともあんたはあたしに昨日のことを訊いて欲しいの?」
ニヤッと笑みを浮かべる。それでも、椋は浮かない顔をしたままだった。
「そ、そんなの、お姉ちゃんらしくないと思います」
◇今朝のニュース◇
・佐賀県が国に「ふぐ特区」を申請
美味だが強い毒性をもつことで知られるふぐの肝の無毒化に長崎大の研究グループが成功。佐賀県はこれを機会に町おこしを狙う。
・公衆電話の番号表一部が流出
制作者が逮捕されたことで知られるWinnyのネットワークに、公衆電話の番号表が一部流出していることが明らかになった。