お熱にうかされて
(※このSSは「昼休み、浩平とみさきで一緒に食事を取っているとみさきの様子がおかしい。これはもしやとおでこに手を伸ばすとなんと熱があるではないか!」の続きを30分以内で描け。というお題に対して書かれたものです)
そんなわけで、午後の講義はパスしてみさきを家に連れ帰ったわけだが……。
「重い……」
「そんなことないよ」
「いや、マジでこれは疲れたぞ。ほら、汗書いてる」
俺はみさきの掌を、自分の額に押しあてる。
「本当だ。ごめんね、無理させちゃって」
「いや、全然構わないけどな」
そのままの体勢で二人、ちょっと立ちつくす。
「なんだかこれじゃ、立場が逆みたいだね」
「そうだな……」
改めて思うが、みさきは女の子だから、俺よりも背が低い。
そういえば、俺がみさきを「先輩」と呼ばなくなったのはいつからだろうか……。
「じゃあ、今日は本当に入れ替えてみようか?」
「はあっ!?」
「だから、浩平くんと私の立場を、逆に」
結局押し切られた。
「浩平、おかゆを持ってきたぞ」
「うん。ありがとう、みさきさん……」
俺がおかゆに手を伸ばそうとすると、ひょいとみさきの手がそれを避けた。
「ダメだよ……じゃなくてダメだ。浩平。ちゃんと俺に食べさせて貰わないと」
「あ、ああ……じゃなくてうん」
「それと、できればずっと目をつむるようにして」
「わかったよ」
どうでもいいが、良く俺の動きが避けられるな。
「ほら、あーんして浩平」
「うん……」
なんだか妙に気恥ずかしい。俺は自分の頬が、紅く染まるのを感じていた。
ちゅっ。
「むぐぅっ」
しまった。
こういう状況で俺、みさきに口移しでおかゆを食わせたことがあったっけ。
「ほら、ちゃんと食べないと体に悪いぞ」
再度口移しでおかゆを流し込まれる。
俺、普段こんな恥ずかしいことをしてたのか
「あっ。もういいよー。その、自分で食べられるから」
「ダメだ。それじゃ俺がつまらない」
じゅるり。
三度、口の中におかゆを流し込まれる。
と、敏感な部分に手が添えられる感覚が。
「あっ」
そのまま、もみしだかれる。
「や、やめてよー」
「ん、どうしたの?」
薄目をあけると、いやらしい顔をした獣がそこにいる。
「やだっ。こわいよみさきさん……」
「大丈夫だから……」
ふにふに。
「あっ。あっ。やんっ」
もみもみ。
「もっ、もっ、もうダ――」
最後まで言う前に、唇を塞がれた。
思わず、どんと胸を押してしまう。
「うっ」
「あ、その、ごめんね……。その、風邪がうつっちゃうから」
「浩平は、そんなこと気にしたりなんかしないだろ」
「わ、わかったよ……」
どうやら観念のしどきのようだった。
「で、でもする前にシャワーだけ浴びさせて。お願い」
既に濡れてしまっているのは、どうしても見られたくなかった。
(おしまい)
◇一昨日のニュース◇
・こいずみほうちょー