がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

オトナの事情

私が参加する呑み会は、大抵柏で開かれる。
そんなワケで、こないだも柏に呑みに行って、イイカンジでべべれけた午後9時半。ふと、ゲーセンの前で水をまいている店員に目をとめた。
別に床が汚れているわけでもない。季節を考えると、暑いから打ち水をしているという筈も無かった。
普通ならばそのまま疑問に思いつつ通り過ぎようものだが、それは流石に酔った私のこと、ゲーセンを利用するわけでもないのに、その店員に声をかけた。
「あの、水をまいているのはどうしてなのか、よろしかったら教えて下さいませんか?」
「ああ」
その店員は手を止め、床を見つめていた顔を上げた。
歳は30過ぎだろうか。時間柄もあるだろうが、爽やかな笑顔の裏に疲れが見て取れた。
「あまり大きな声では言えませんが、若者たちが座り込むのを防ぐ為なんですよ」
その言葉に、私は非常にショックを受けた。


私はその男に、若者と看過されていなかったのである。