がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

カタロニア讃歌

ジョージ・オーウェル著作の、彼が1930年代のスペイン戦争に義勇兵として参加した際の体験を綴ったノンフィクション作品。泥濘と氷のような水溜りがたくさんの戦場を這い回り、首を撃たれたり、夜の闇の中を逃げ回ったりとフィクション並みのアクションですが、凄いことにノンフィクションです。スペイン戦争にまつわる小説は今のところこれ一冊しか目を通していませんが、おそらくこれが一番面白いものだと思います。
彼自身のスペイン戦争に対する独自の考えや批判も書かれていて学術書としても役に立ちますが、そこを読まなくてもオーウェルが戦線で体験したことだけでも十分に楽しめます。市街戦に巻き込まれたり、敵陣地を一時的に占拠するために命を張ったり、やることがとても適当なスペイン人に怒りを覚えたり親愛の情を覚えたり。
というか、オーウェルの感覚が特殊なのか、1930年代のスペイン人が凄いのか、この本ではスペイン人がとても適当な性格として描かれています。機関車の発射時刻が機関士の気ままで変わり、秘密警察は家宅捜索をする際にベッドで寝ている女性には指一本触れずに周りも調べません。適当にも程がある。
変なことを書き連ねましたが、兎に角とてもお勧めできる本です。図書館とかにあるかもしれませんし、ひょっとすれば古本屋でも売っているかも。
是非機会があればご一読を。