がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

小説

築地俊彦(illustration/NOCO)『特装版 艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します! 3』ファミ通文庫、2014

【イントロダクション】 南へ、南へ。 少女たちは駆けていく。 そこに何があろうとも。何が待ち構えていようとも。 南へ、南へ。 リンガと名のつく泊地へと。 植物茂り太陽注ぐ南方へと、陽炎たちは向かう。【あらすじ】 大規模作戦は集結し、不知火は呉へと…

築地俊彦(illustration/NOCO)『艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します! 2』ファミ通文庫、2014

【イントロダクション】 艦娘たちによる決死の作戦から数ヶ月。陽炎たちはいつものように厳しく、いつものように楽しく訓練に勤しんでいた。 いつからか、鎮守府に見慣れない顔が増えていく――横須賀鎮守府に呼び寄せられた艦娘たち。新しく始まる、大規模な…

築地俊彦(illustration/NOCO)『艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!』ファミ通文庫、2013

【前振り】 ブラウザゲーム『艦これ』と言えば、現在では知っている人がそれなりにいるのではと思います。多くのプレイユーザーを備えたこのゲーム、正式名称の『艦隊これくしょん』は、昨年スタートした旧海軍艦艇らをモチーフとした艦隊育成シミュレーショ…

平山夢明『暗くて静かでロックな娘(チャンネー)』集英社、2012

全五回予定の最終回です。 ついにここまで来ました……!次は短篇集か長編か、どちらにしましょうか。短編の方が区切りやすいので書くのに良いですが、長編も手をつけないと積まれるのですね。 『おばけの子』 :半年の物語だ。千春の周囲にはサエコとアキオが…

平山夢明『暗くて静かでロックな娘(チャンネー)』集英社、2012

全五回予定の第四回です。 粛々と感想を進めましょう。粛々。 『人形の家』 :《俺》はパチンコをすると天カスになる男。だいたいお金がなくて、仕事はしていない。自分で仕事を探すと思いながら二年経っている。いつものように天カスで全部お金をなくしてパ…

平山夢明『暗くて静かでロックな娘(チャンネー)』集英社、2012

全五回予定の第三回です。こちらの日記についてなのですが、ゲームの感想関係で飛んでくる人も多いようなので、またテキストゲームやフリーゲームの感想を書いた方が良いのでしょうか……! でもパッと思った時に参照しにくいので、若干書きにくいのです。どう…

平山夢明『暗くて静かでロックな娘(チャンネー)』集英社、2012

全五回予定の第二回です。 SSの合間に感想とか書くとけっこうはかどるのですウフフ。脳みその使ってる部位が違うのかも知れません。 『兄弟船』 :市三は不幸だった。狭苦しくて息が詰まりそうな世界、誰にも助けてもらえない世界、自分の真上に煉瓦が一万…

平山夢明『暗くて静かでロックな娘(チャンネー)』集英社、2012

なんとなく原点に戻った感じで、今回から平山夢明に入りました。 久しいのですヤッフー! 全五回の掲載予定です。『日本人じゃねえなら』 :どこへ行ってもお前は日本人なのかと尋ねられる日本人が一人、ある街に流れ着いた。酒を飲む店で出会ったじゅちーむ…

キム・ジュンヒョク(波田野節子/吉原育子)『楽器たちの図書館』CUON、2011

全八作のうちの七〜八作目の感想です。今回が最終回となります。ここまで見てくださった方、ありがとうございます! 『無方向バス』【出だしと二番目の文章、そして最後の二つの文章は、キム・ソジンの短編『美しかったベンドク』から引用した】 :かつて母…

キム・ジュンヒョク(波田野節子/吉原育子)『楽器たちの図書館』CUON、2011

全八作のうちの五〜六作目の感想です。残り一回の予定です。 『ガラスの盾』 :もうすぐ二十七歳になるが就職できていない男二人は、ほとんどイタズラ半分に入社試験を受けていた。二人はどんな状況でも共に面接を受け、面接をバカにするようにマジックショ…

キム・ジュンヒョク(波田野節子/吉原育子)『楽器たちの図書館』CUON、2011

今回はやや音調を変えまして、アジアに飛んでみました。白い装丁がフシギですが、中身は色彩豊かです。 全部で八作品の短篇集です。二作ずつに分けて感想を書きたいと思います。 『自動ピアノ』 :各地を周って演奏をするピアニストの僕は、ある時ピート・ジ…

伊藤計劃『虐殺器官』ハヤカワ文庫、2010

:二千一年以降のテロとの戦いは激化の一途を辿っていた。副現実(オルタナ)、侵入鞘、痛覚マスキング。より先鋭化する科学に抱かれながら活動する、特殊検索群i分遣隊――通称、合衆国の暗殺部隊に所属するクラヴィス・シェパード。彼は後進諸国で急激に増…

コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』早川書房 2010

:無月の夜、ざらつく大気の中を歩く父と息子の二人。疾くに一線を越えていた世界は暗雲に包まれ言葉が意味を無くしていく。冬から逃げるために南へと歩き続ける彼らの眼に映るのは廃墟食人鬼そして荒廃荒廃荒廃。押し潰された大地の上を二人は互いを守りな…

田中ロミオ『人類は衰退しました7』ガガガ文庫、2012

:かのアニメ化作品の新作が! 絵も新しい! キャラクターはいつも通り! あっ主人公の女の娘かわいいです! 学校を作ります。あまり叱り過ぎると人格が変容して将来的に悪影響を及ぼしかねないので子供は甘やかします。先生(わたし)はこびへつらいます。…

神林長平『グッドラック 戦闘妖精・雪風』ハヤカワ文庫、2001

:相克の激化は戦争の没入にも似て、人と機械の疎通は未見域へと突入する。 物語は前作の総括とも言える一通の手紙と、雪風より射出された深井零中尉の目より始まる。その瞬間、その時刻より開始された多群的な物語は重厚な展開を見せつつも、あたかも人物行…

スティーヴン・キング(白石朗)『アンダー・ザ・ドーム』文藝春愁、2011

:突如として発生した〈ドーム〉は、町を全てから分けた。外界との出入り。大いなる神々。アメリカ合衆国。そして秩序から。 十月二十一日の朝、メイン州にあるチェスターズミルという町を区切るように障壁が発生する。冠された名は〈ドーム〉。くぐり抜け、…

渡辺浩弐『アンドロメディア』幻冬舎文庫、1998

:人の手により成ったバーチャルアイドルAI。彼女は変遷の末にネット内で自己増殖を始め、やがて妄執の領域へと至る。 90年代時点での未来創造の産物でもある、現代とは異なる現代。天才的な技術者タカナカは、ある時日本芸能界において凄まじい人気を有して…

桐野夏生『OUT』講談社、1997

:絡み合う四人の女たちによる悲劇の集合体。その核心にあるのはある男の死体と、女たちが協力した挙句の死体解体。鬼の所業に手を染めた四人は、幾ばくかの狂気と幾ばくかの打算を胸に、何処とも知れない異地をひた走る――主要登場人物はいずれも女性たち四…

虚淵玄『ブラック・ラグーン2 罪深き魔術師の哀歌』ガガガ文庫、2011

:帰ってきたロアナプラ! 帰ってきた悪党ども! そして帰ってきた血飛沫! 猟犬メイドロベルタによる無法の街再訪問以降の話。米CIAはロアナプラの犯罪的価値を知りえ、利用しようと図る。その号令により進められる『ペルセフォネ作戦』と、呼応するように…

神林長平『戦闘妖精・雪風』ハヤカワ文庫、1984

:恐ろしく緻密で頑なな、機械と人が織り成す作品。 ある日地球に出現した異性体ジャムとの戦いにより、人類はフェアリィ星を発見、そこでジャムに対抗するための前哨基地をフェアリィ星に設営し、電子頭脳を取り入れた戦闘機シルフィードが配備される。主人…

舞城王太郎『NECK』講談社文庫、2010

今回で終了でした。全四作ですね。『the third』:同名の映画原作! ということもあってか、良くも悪くも映画を意識してるなあ、という感想でした。または甘酸っぱいあまあま青春ドラマを作ろうとして、なんか熟してない渋柿が混じりこんでいて苦ッ!! 収録…

舞城王太郎『NECK』講談社文庫、2010

再び続き。今回は『the second』です。次で終わる予定。【the second】:山中にキャンプしに来た六人の男女に襲いかかる、不条理と悪意の出来事。 舞城王太郎さんの作品は、キャラクターらが基本的にスターシステムのようですので(奈津川関係や水星Cなどの…

舞城王太郎『NECK』講談社文庫、2010

続きです。今回は『the original』を。 【the original】:山中、首まで埋められた三人を飲み込む、焼け付くような夏の一日。 ねじり込まれるような中編でした。 舞台の原案として書かれた脚本&絵コンテを用いた作品。 アクションと会話主体なので、序盤は…

舞城王太郎『NECK』講談社文庫、2010

『ディスコ探偵水曜日』や『九十九十九』、『スクールアタック・シンドローム』などで常にこちらの度肝を抜いてくれる舞城王太郎ですが(チョイスには露骨な意図が含まれています)、今回は『首』を素材として、それを用いた短篇集を出してくれました。でも…

アーヴィング・ストーン『炎の生涯 ファン・ゴッホ物語』フジ出版社、1975

:オランダ、ある牧師の息子で当初は画商であったけれど、次に牧師になろうとし、失敗し、画家になり、絵を描きはじめて貧困と苦悩の境目で常に呻吟し続けた男の話。名前はフィンセント・ファン・ゴッホ(この名前はドイツ語読みで、オランダ語読みではヴィ…

仁木英之『僕僕先生』新潮文庫、2009

:僕僕先生かわいい! 王弁ダサーい! から始まる(別に始まりません)中国唐代を舞台にしたファンタジーノベル第一弾。ちなみに第五弾まで既に刊行されているので、一気読みにも最適。文庫本だと第三弾まで発売されています。 この本の概要を文章で表すとす…

フランツ・カフカ『変身』新潮文庫、1952

:ある朝、気がかりな夢から覚めたグレーゴル・ザムザは自分が巨大な一匹の虫になっていることを発見した。そうした文章からはじまる、変身したグレーゴルの虫としての日々。 カフカ自身によって『不完全』と言われたこの小説は、僅か百ページ前後のものであ…

多久弘一『中国怪談奇談集』里文出版、2002 その二

【お爺さん、二人の孫を刺し殺す】 :タイトルだけですべてを語ってしまっていますが、化物に騙されたおじいさんが今度は奴らをぶっ殺してやろうとあれこれ策謀しているうちに、なんとお孫さんを殺してしまった話。というかそれくらい気づけなかったんでしょ…

多久弘一『中国怪談奇談集』里文出版、2002 その一

:たまには趣向を変えてアジアから攻めようと、中国産の怪談集です。長くても十ページに満たない掌編サイズの怪談が多いので、湿っぽい話が多いにも関わらず読者に与えてくれるのはサクサク感です。また単語にカーテンやブッ叩くなどの語彙がチョイスされて…

山下定『自殺サークル』エニックス、2002

『それではみなさんさようなら』 本棚にあったのを発掘した一品。十年近く前の作品ですが、割れ物とかPC用語(専門的でない意味で)が出てきていて面白いのです。ワレズとかありました。 とりあえずネタバレなしで書きますと、最終的に作者が表現しようと思…