今回はクリスについてです。例によって全力でネタバレしているので、未プレイの方は読まないで下さいませ。
4.孤独な天才
複雑な内面、というと真っ先にファルが挙がると思いますが、実はこのクリスも、彼女に負けないくらい屈折してるんじゃないかと思っています(笑)。
・彼は何故アルを選んだか?
このゲーム、実はクリスとアルとの恋愛を応援している人は、一人もいません。
ライバルと言って良いファル、リセはもちろんのこと、クリスやアルの両親も、どうやらトルタとクリスが添い遂げることを期待していたようです(それどころか「いつしか男の子は双子の姉とつきあうようになり、子供達の間でだけはそれが当然のこととして受け入れられていた」と、両親がクリスとアルの仲を認めていないようにも取れる一文があります)。
アーシノも(彼の場合下心も絡んできますが)クリスに、トルタの気持ちを受け入れるよう諭しますし、コーデルもクリスの色恋沙汰には一線を引いているようでいながら、実は裏でトルタの背中を押しています。
ニンナに至っては、どうやらトルタの為にピオーヴァに引っ越した側面もあったようです。「アルはもういないんだよ」と強い口調でトルタを諭すシーンも見られます。
トルタは、本当にアルを応援していたわけではありません。
さらに……アリエッタ自身であるフォーニですら、クリスとトルタが恋人同士になることを望んでいました。
こう考えてみると、状況は全て、クリスとアルとの恋愛にとって障害となるよう動いている事が分かります。それら全てを跳ね返して、アルとの生活を手に入れるフォーニシナリオは、クリスのアルに対する強い愛を感じられるのですが、果たしてそれだけでしょうか?
ゲーム中に次のような文があります。
僕はトルタの事も同じくらい好きだったんだ。
確かに僕は、二人のうちから一人を選んだ。
理由は単純だ。
アルの方が、僕を必要としていると思ったから。
アルは弱い女の子で、トルタは強い女の子。
そんな、単純で馬鹿な思いこみから僕はアルを選んだ。
(未完)