がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

またもやSSのみ


私の成人式




 成人式の後には、みんなで集まって騒いだりする。
 だけど、私はそれには参加しない。


「私がいると、移動とか制限されちゃうと思うから」
 雪ちゃんは、引き留めようとはしなかった。


 目が見えないということは、孤独だということ。
 今日はとても人が多い
 みたい。
 今日の私はとっても綺麗
 みたい。
 今日の天気は生憎の曇り空
 みたい。

 石畳をこんこんと叩きながら降りる。
 手すりがどこにあるのか分からない。

 私の周りを、笑い声が取り囲んでいる。
 私が動くと、その輪っかも私を避けるように動く。
 みんな、気を遣ってくれてるんだよね。
 お母さんと一緒に来れば、こんな迷惑はかけずに済んだのかなあ。

 なんとなく前に何かあるな。と思ったらもう、頭がごちんとぶつかった。
「い、痛いよー」
 思わず涙が出る。
「こ、浩平君?」
「ごめんなさい」
 女性の、多分ぶつかった人の声。そのままつかつかと歩いて行ってしまう。
 成人式を迎えても、何一つ変わらない。
 私はずっと、こうして生きていく。