私の成人式
成人式の後には、みんなで集まって騒いだりする。
だけど、私はそれには参加しない。
「私がいると、移動とか制限されちゃうと思うから」
雪ちゃんは、引き留めようとはしなかった。
目が見えないということは、孤独だということ。
今日はとても人が多い
みたい。
今日の私はとっても綺麗
みたい。
今日の天気は生憎の曇り空
みたい。
石畳をこんこんと叩きながら降りる。
手すりがどこにあるのか分からない。
私の周りを、笑い声が取り囲んでいる。
私が動くと、その輪っかも私を避けるように動く。
みんな、気を遣ってくれてるんだよね。
お母さんと一緒に来れば、こんな迷惑はかけずに済んだのかなあ。
なんとなく前に何かあるな。と思ったらもう、頭がごちんとぶつかった。
「い、痛いよー」
思わず涙が出る。
「こ、浩平君?」
「ごめんなさい」
女性の、多分ぶつかった人の声。そのままつかつかと歩いて行ってしまう。
成人式を迎えても、何一つ変わらない。
私はずっと、こうして生きていく。