電車の向かいに、親子とおぼしき二人組が座りました。
父と娘の二人組で、娘はまだ幼稚園にも入らないかという年齢。父はその親にしては少々歳がいっており、40台に達していそうでした。
父親は鼻が大きく、吹き出物が顔中びっしりと出ており、少しやぶにらみでした。
娘は、幼いせいもあって少し突き出た下唇以外に目立った特徴はありませんでした。
父親は座っている間、無心な様子でずっと娘の方を見ており、肩に回した手を伸ばして娘の太腿をふにふにしていました。
娘はそれを気にしてか落ち着きがなく、父親の方を向いては、またそっぽを向き、と、その二点の間で首を忙しなく動かしていました。
父親の方を向いてちょっと躊躇うようににこっと笑い、またそっぽを向きますが別に何かを見ている風はなく、ただ父親の顔を見続けるのが恥ずかしいからであるように見えました。
私は川端康成の本を読む振りをしながらそれをちらちらと盗み見「ああ、こんな小さい子でもやっぱり女の子なんだなあ」と思っていました(いい加減オチつけろよ)。