がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

復路鵜

私のHN名は、復路鵜と言います。ちなみにこれでふくろうと読みます。めちゃめちゃ読みにくいじゃないか! という声もあったりなかったりしますが、そういう方にはごめんなさいの一言です。
いやまあ梟に変えてしまえば楽じゃん、とか思うのですが、あまり人が使うようなHNは使いたくないですし、この復路鵜にも結構愛着があったりします。
ということで、今日は私がこのHNにした理由みたいなものでも。

結構昔、かなり昔、私は北海道の方へと旅行に行きました。
今でも目を閉じれば、その時の様子が思い出せそうです。吹雪に見舞われて死ぬかと思ったり、気温が氷点下の夜中にコンビニに夜食を買いに出かけたり、行きや帰りの飛行機ですげー緊張していたり、今となってはとても良い想い出です。
そんな旅行の中、私はある商店へとお邪魔しました。木彫りの像やキーホルダーなどを売ったりする、どこにでもありそうな商店だったりするのですが、私は何故かそこにお邪魔をしました。
店の中で、店主の人が木彫りのある像を慣れた手つきで彫っていました。私はそんな様子がものめずらしく、失礼とは知りながらもその姿を拝見させてもらいました。
うわーすげーなーかっこいーとか思いながら私は木彫りの像が徐々に形を作っていく様子を眺めていました。店の人もそんな私の様子を知ってか知らずか、目の前のものに集中しています。
やがて一区切りついたのか、その人は手を休めて私のほうに向きました。
「あんた、名前は?」と聞かれ、まさか話しかけられるとは思わなかった私は半ば混乱しながらしどろもどろで答えます。
その人はどこから来たのか、どれくらいこっちにいるのか、将来は何になろうと思っているのか、様々なことを私に聞いてきました。最初は緊張しながら受け応えをしていた私ですが、後半のほうになれば自分から口を開くようになっていました。
何分か話をしたあと、その人は持っていた像を私に差し出しました。
「記念にこれをあんたにやろう」と。
それは梟の像でした。木彫りのそれはまだ未完成ながらも、私の目にはとても立派なものとして映りました。
遠慮する私にその人は笑いながら像を押し付け、またここに来いと言って店の奥に引き上げていきます。
かくして私は、その梟の像を持ってホテルへと戻っていきました。その像は今でも保管してあり、私の宝物です。

とまあ、そんな心温まりそうなエピソードのおかげで私はHNをふくろうというものにしたというわけです。復路鵜というのはご愛嬌。
ちなみに、後日談ですが私がまたあの店に訪ねていったとき、その人はきれいさっぱり私を忘れていたらしいです。