がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

オフシーズン

男が撃たれ、女がバラバラにされ、子供の首が飛ぶ。そんな小説です。ジャック・ケッチャム著。
よくもまあこんなもんが書けるもんだ、と言いたくなるくらい底辺を這いずっています。かなりの意味で救いようがありません。というかまあ、ジャック・ケッチャムの作品にハッピーエンドは殆ど見たことがありませんが。
ストーリーは、メイン州の避暑地に休暇をとってやってきた男女六人。ところがその避暑地には食人族が住み着いており、彼らは六人が到着した晩、皆が寝静まったところを見計らい、襲い掛かってきます。果たして男女六人は生き残ることが出来るのか―――――? と言ったところ。
ケッチャムが世に送り出した最初の長編作品とあって、この作品には荒いところが結構あります。終盤での洞窟での描写も、頭を捻ってしまうところがあります。が、そんな欠点を物ともしないくらい突き抜けています。食人族の彼ら独自の思考、マージーが洞窟内で思い知らされた、自身の心の中の闇、破滅と自滅の領域。
読んで損は無いので、一度は読まれることをお勧めします。
個人的に一番悲惨なのは、あえなくバーベキューにされたカーラでもなく、最後の最後で酷い目にあったニックでもなく、彼らが陥っていた状況に完璧に打ちのめされてしまったピーターズだと思います。おそらく彼があんな行動をとってしまったことを、責められる人は居ないでしょう。