がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

奴らは群れでやってくる(復)

今年の四月から、私は新生活をはじめました。新というよりは通う所が変わっただけなのでそんなに新しくもありませんが。
とりあえず、そこは田舎です。どれくらい田舎だと言えば、近くのスーパーまで自動車で二十分かかります。住宅街ですから店はありません。宅配便の支店と床屋が一個あるだけです。ガソリンスタンドなんて隣の町です。ガソリン切れたらどうしろというんだ
そしてそこは田舎なので、田んぼが多いです。原っぱも多いです。でももっと多いのがです。もっと付け足せば羽虫。
奴らは歩道を歩いてたらいきなり向かってきます。一瞬の隙を突いて耳の中に入り込もうとし、下手したら目に向かって突進すらしてきます。たまに建物の中にいても何匹か攻撃してきます。
あと、駅のホームで電車を待っているときも奴らは隙を窺っています。そこらで群れを作り、地雷の如く罠にかかるものを待ち構えているので、ちょっと余所見しながら歩いているとすぐに群れの中に顔面から突っ込む羽目になります。しぶとく、かつしつこいので手で払ってもまた舞い戻ってきます。
あの砂粒のような体躯であり、何十ものグループを作り、自分達の縄張りに侵入してきた人間に対し、決死の覚悟で突撃してくる様にはある意味清々しささえ覚えます。大抵は不快感しか覚えませんが
しかし、虫達は虫達で一生懸命生きているのではないでしょうか。彼らは空を飛ぶ虫であり、存在意義がふよふよと辺りを浮かんでいることでしかないのならば、その存在意義を全力で遂行するというのが虫の使命たるものではないでしょうか。自然界における生物的価値は限りなく低いとしても、彼らは精一杯己の自己を全うしているに違いありません。
まあ、時期的にあと二週間もすれば全部死ぬのでしょうけどね。