作者:フィリップ・カー
訳者:東江一紀
80点。
中身は割りと普通な警察小説でしたが、所々に挿入されるソビエト崩壊後のロシアの描き方が面白く、ついつい引き込まれてしまうものがありました。伏線の回収も上手くやってのけた風に思われます。
『わたし』の名前が最後まで出てこないところや章の区切り方はちょっと無理矢理という感じがしましたが、気になるのはそれくらいでした。なかなかというか、堅実的というか。吹っ切れたような箇所が無いのは残念。
また、文中での刑事グルーシコの台詞にある、「ソヴィエトは本当に勝ったのか? それとも、単にドイツが自滅しただけか?」はちょっとした名台詞だと思いました。