久々に本の感想でも。
ちなみに短編集なので一本ずつ見ていきます。
- 『他人事』
表題作。やはりというか見所は男のぶっとんだ態度。思わず読んでいて噴出しそうになりました。
とは言え、男が突っ走りすぎたように思え、オチは味気ないものに思えました。不条理ホラーって文章だとあんまり感銘を与えにくいんですかね。
- 『倅解体』
個人的ヒット作。空前です。
作品全体に漂っている荒野のような空気に痺れました。どこを向いても砂埃と石ころしかありません。救いなんてどこにもありません、あっても水を差すだけです。それにしても平凡な一家庭をここまでぐちゃぐちゃにできる平山さんは天才だわ。
電動鋸の部分は参考になりました。色々。
- 『たったひとくちで……』
なんかタイトルでオチが読めた気もしますが、それは置いておいて。
オチを読んだ後であれ? と疑問。もうちょっと他の描き方の方が良かったんでないかい? と尋ねたくなりました。
あと夫の過去にも興味が沸きました。
- 『おふくろと歯車』
乙一の『SEVENS ROOM』を読んだ時の感触を思い出しました。なんだこれ。ホラーなのか感動作品なのか、どっちなのだ。
平山さんはよく現実世界の人や物を引用していますが、この作品でも満遍なく散りばめられています。とは言え、この人が書くとキングみたいなリアリティではなく、むしろ鼻をもぎちぎられた豚みたいな不気味な感じがするのはなんででしょ。
- 『仔猫と天然ガス』
ぶっとんだ作品。ぶっとびすぎて私の理解の範疇を超えました。
なんだこの始まり方はとか、この人何のために出てきたんだとか、唐突なクライマックスはなんだとか、オチがなんなんだとか、色々な疑問点がぎゅんぎゅんと頭を駆け巡りました。
- 『定年忌』
なんという福祉改革。これが施行されたら間違いなく暴動が起きる……!
色々とツッコミどころはあるんですがそれを見過ごせばなかなか楽しめました。黙祷。
最後の文章に久しぶりに痺れました。こういう書き方あるんだなあ。
- 『恐怖症(フォビア)召還』
どっちかというとエンターテイメント的作品。ニーニャかわいい。
あともうちょっと丁寧な描写が欲しかったです。急ぎすぎているような。
- 『伝書猫』
なんというか、物悲しい気分。メランコリー?
言い方は悪いですが、ちょっと典型的。面白かったんですが。
- 『しょっぱいBBQ』
中盤までは掴めていたと思うんですが、終盤になって針を刺した風船みたいにしゅぽーんと飛んでいきました。なんだこれ。これは故意なのかそれとも作品の流れ的に仕方なかったのか。
- 『れざれはおそろしい』
私的には新機軸の書き方。こういうのってあまり見ません。
しかしこういう時の大人たちの動きって傍から見たらギャグですね。というよりブラックコメディ。
ちょっとまだ話の構造を理解してないので、再読したい。
- 『クレイジーハニー』
マグナムの描写はかなり参考になりました。
あと思うんですが、平山さんて結構SF系の勉強をされているのでは。こういうのを書くのって何気にかなり知識要りますし。
オチは萎んだようなそうでないような。
- 『ダーウィンとべとなむの西瓜』
おそらくこの本の中で一番意味不明なタイトル。初見でこれが分かる人はまずいないでしょう。
そしてタイトルの割に中身が平凡でした。人種差別的な観点は興味深いのですけれど。
- 『人間失格』
なんというアメリカンジョーク。いやブラックなのか?
しかし普通にこういうことありそうだから困る。
えーと、ノスタルジックと表現すれば良いんですかね? これ。
中盤まで虎出てこないよ! とか思っていたら終盤になってようやくわかりました。確かにサイレンサーだわこれ。
- 総合
中身がちょっと薄い割りに1600円と割高ですが、不条理ホラーや平山さんの本が好きな方なら買って損はないと思います。たっぷり楽しめることでしょう。それ以外の方はおそらくちょっぴりの不満を腹に残したまま終わると思います。
あと私的な感想なんですが、表表紙の絵が怖い。
次は『ミサイルマン』か『独白するユニバーサル横メルカトル』を読みたいです。思うんですが、この人のタイトルセンスは異常。
それとweb拍手のお返事。
>18:36 バイオもといメトロイドフュージョンのネタでwwwww霊夢なら膜を破られ子宮を無数の蛆の製造苗床に?
>18:39 勿論美味な脳漿液を垂れ流して人体切d(ryそして眼球姦ww
これは なんという ぐろてすく!
しかし博麗の巫女はそのふしぎなぱわーで死亡フラグを回避するのであった!
というか霊夢って主役属性でそういうことが普通にまかり通りそうだから困る。
あと霊夢って腕切ったら自律して勝手に活動していそうなイメージがあります。そのうち四分五裂した霊夢が独自で生活を営んでいそうだ。
また、16日にぷちSS祭りがあるので、お暇な方はぜひとも参加していただきたく思いますので宜しくお願い致します。
お題の方も随時募集しています。