がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

地下室の手記(ドストエフスキー)

作品の紹介が「極端な自意識過剰から一般社会との関係を絶ち、地下の小世界に閉じこもった小官吏の独白を通して、理性による社会改造の可能性を否定し、人間の本性は非合理的なものであることを主張する。人間の行動と無為を規定する黒い実存の流れを見つめた本書は、初期の人道主義的作品から後期の大作群への転換点をなし、ジッドによって「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と評された。」とあるんですが何言ってんだお前はという感じですね。
ドストエフスキーぐらいの小説家であれば高年齢層の方も手をつけるのでこれくらい書いてもいいのでしょうけども、これだとなんだか若い人が敬遠してしまいそうなので、もう少し柔らかく書いてくれてもいいんじゃないかと思います。
中身は薄く僅か250ページほど。一章と二章に別れ、一章は官吏(氏名不詳)による独白、二章はその過去となっています。一章は小説というよりむしろ哲学的文章と言えるほど込み入って複雑となっているので、あまり力を入れずに楽にすらすらと読めばいいのではと思います。
二章からは官吏の過去が入るのですが、これがまたアホです。下男と喧々囂々の大喧嘩を繰り返し、同窓会で半分無視されながら無理矢理輪に加わっていたり、売春婦に「君はこれこれこのように破滅するのだよ」と懇々と諭してあげたりと、まあ要するにドストエフスキーです。
とりあえず、周囲にはいて欲しくないタイプの人間ですね。
それなりに読み応えのある作品でした。次は何読もうかしら。


地下室の手記 (新潮文庫)

地下室の手記 (新潮文庫)