がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

藤村流さん作『むしのね』

東方創想話作品集57に収録
蒸すような暑さが占める嫌な夏、森の中でリグル・ナイトバグは行き倒れの男と出会う。男は口にした。「探し物をしていた」


逢魔ヶ時をテーマにした、夕暮れと薄闇をぐるぐる歩き回るようなSS。不快さをより醸し出してくれる筆致によって読者は徐々に追い詰められるような心情を抱くことでしょう。
物語は救いが無くて残酷で悲惨な面をも含みますが、それ以上に幻想郷で妖怪として生きるということ、リグルの生存する領域についての考察が深いということに感銘を受けました。幻想郷というのはそれ自体ちゃらんぽらんなものでありますが、その渦中で食ったり食われたりするというのは、こういうことも存外に含むことなのだろうと思わずにはいられません。そういう意味では無残な物語ですが名作であると言えます。もうちょっと得点高くてもいいんですがねー。
東方SSのシリアス傾向として「妖怪が人間と一緒に生きることができなくて悩む」という方面での代物がだいぶん多いですが、このSSはそうしたシリアスとはまた異なる趣で読者を光で照らしてくれるでしょう。多分その光は暗い緑玉のようなものでありましょうが、読む人を退屈させることはありません。


web拍手のお返事。遅れてごめんなさいー。
地霊殿のSSこんぺの予定はありますか?
とりあえず私が開催する予定はありませんし、少し前に第六回東方SSこんぺも終了してしまったので暫くこんぺは開かれないことでしょう。ネチョコンペならば開催されるかもしれませんが。
それにしても地霊殿の面々でSSを作るのは未開拓な領域なだけあってなかなか楽しそうです。勇儀と萃香のマジ喧嘩話とか。