がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

Stories5の感想


いちばん最後の笑顔はあなたに 相沢 和也さん
 もうKanon全く関係ないよね(笑)。
 むしろAIRでこのネタやった方がよっぽど原作と関連づけられると思うわけです。
 つーわけでこれも評価不能
 あ、でも北川の童貞臭さといいますか、その辺は妙にリアルでした。原作の北川は童貞臭くないわけですけど。むしろあいつモテてそうじゃね?


絆について 大谷晶広さん
 非常に良くできたIFものだと思います。
 特に名雪の原作との変化が面白い。
 性格が変わっているわけではないんですが、祐一への感情の出し方がもっとストレートになっていて、原作との設定の違いが見事に二人の関係性に顕れている。
 しかも、この名雪は原作のような執着がないんですよね。雪の街からもあっさりと出て行ってしまうし、天使の人形も投げ捨ててしまう。
 この変化も、もし祐一とずっと一緒にいられたら……という仮定から導き出せる良質な「答え」だと思いました。


鬼火の丘 復路鵜さん
 美汐は自殺したいと心の中で思ってるだけで、実際は未遂ですらないんですよね、これ。
 それなのに堂々と「墜死」とか「縊死」と言ってしまったり、堂々と「若者にありがちなうすっぺらいナルシシズムでない」と言い切ってしまう美汐に笑ってしまいました。
 実行してから言えよ! というわけではないんですが、やっぱり内心で考えてるだけにしては表現が強すぎると言いますか、美汐の苦悩を描くならもう少しねっとりとした虚無感とか脱力感を描くべきです(例えばリーマンさんの作品のように)。
 同様のことが終盤にも言えて「少女の闇は尽きた」というのも表現が強すぎます。時間軸としてはこのストーリーの後にあたる原作ではまだ吹っ切れていなかったわけですから。
 また、そこに至るまでの美汐の変化もちょっと納得いかないものがあるというか、「妖狐の死を受け入れられない」→「受け入れたけど妖狐を苦しませている自分が許せない」→「妖狐に好きだと言われたから自分を許して問題解決」という流れは、無理がありません? 色々と。


本当はこわい、みんなのKanon 世を忍ぶTir na n'Ogさん(笑)
「本当は怖いグリム童話」という本があります。
 ところが中身をよく読んでみると、「本当は“えろい”グリム童話」なんですね。
 このSSも(ry
 そういう意味でこのタイトルを付けたんですよね? Tir na n'Ogさん!


さいごの手紙 神代 悠さん
 ああ……。
 凄く良かったです。
 途中で「あゆ」の名前が出てくるまでは祐一が帰ってくるような展開を期待してましたが、こういう切ないのもいいですよね。雰囲気にどっぷり浸らせて頂きました。
 惜しむらくはおそらく横書き用のレイアウトでそのまま縦書きになってしまったこと。それと、これが文字通り「さいご」になってしまうことへの恐怖。
 また神代さんの名雪SSが読める機会を楽しみにしています。


from here to Kanon 涼末さん
 祐一ざまあ。
 ……とでも言うべきなんでしょうか(笑)。
 佐祐理の一人称も、名雪の一人称も、もう「私」で、つまり彼女らはとっくに過去にある程度ケリを付けてるんですね。
 祐一だけが過去に整理をつけられなくて、むしろ佐祐理にとって鬱陶しい状態。そして、最終的に「捨てられる」展開は痛々しいんですが、それこそが祐一だと納得させる説得力もありました。
 あゆシナリオを通過していない以上、あゆの「ボクのこと、忘れないでください」という願いがずっと祐一を苛み続けているわけですが、そんな彼の姿にあゆは何と言ったのか、とても気になります。
「『さよなら許せないぼくたちの弱さがよかった』なんて言ってる場合じゃないよ」とでも言ったのでしょうか。
 感想の量からもお察しいただけるようにかなり高評価のSSなんですが、褒めるだけで終わらせるのもなんなので一応批判も。
 分量からすると仕方がない面もありますが、舞についても掘り下げて欲しかったと思います。実は舞も佐祐理を鬱陶しいと思ってることを示唆するようなシーンがあれば、テーマが分かりやすくなったように思うのですが、いかがでしょう?
 また、名雪の表現が割と直裁的だったのも個人的には好みではありませんでした。や、彼女はそれとなく示唆してくれるキャラだという認識なので(笑)。
 最後に、書き方について。テーマが優先してしまって、具体的なシーンの選択にはかなり苦戦しているのが読者から窺えるのは頂けません(笑)。地に足のついた文章を書こうとした苦労の足跡がべったり残っちゃってます。シーン毎に行を空けてますが、この空白の間で、次は何を書こうか、さぞかしうんうん唸ったことでしょうね。お疲れ様でした。