ドーモ、皆さん。復路鵜です。本日は二回目の『ZINJA SLAYER』の感想をお送りします。余談ですが、裏表紙の絵ではサナエ=サンから最もザンコク・アトモスフィアを感じます。以下注意書き。
◆以下に記されるのは作品の感想でありますが、他の人が読む面白さを消去しないためネタバレはしない◆NRS重点のためよく分からない部分があってもそっとしよう◆してください◆でもキャラぐらいには触れる◆
◆よりよいNRSを供給したい◆しますね◆なおエピソード感想は分割形式なので今後何週間かにわたって掲載するのだ◆長期保存◆あとネタがわからない人はゴメンナサイ◆先触れ謝罪◆
『ホワイト・アンド・ブラック・ブリザード・イン・エソテリア』(文/killby)
『ジ・アフターマス』を幻想郷加工した作品と言えなくもありませんが、明白なキャラ移行により、何かしら独特なアトモスフィアを形成していることを認めざるを得ません。
原作のニンジャたちはスリケンやカラテで殺し合いをしましたが、ここでは四人のマジョたちがレーザーやジュモンを用いてイクサを敢行しています。原作を知る者にこそ辿れる、ズレを模した演出はまさに二次創作ならでは。ALAS!
あのシーンでニヤリとし、この場面に笑う。メタ的にもなりうる演出は、読者にシンクロする二つの戯画を想像させつつも、東方と忍殺両方の世界が如何様かを思い出させます。マジョとニンジャが交じり合う脳内演出は読者に息をもつかせません。
そして、この作品にかぎらず合同誌のエピソードを読んでいると、異なる要素も見て取ることができます。ニンジャが東方に近づきながらも、東方がニンジャに近寄る……すなわちスペルカード戦は純粋な殺し合いに座を奪われ、マジョたちのイクサに慈悲はなくなります。
裏表が異なれば弾幕決闘で済んだ筈のものは、純粋な殺し合いになります。作品ごとによってこれらのルールは異なりますが、多くの作品ではイクサの結末は、敵対者の撃退から敵対者の殺害へと移り変わります。
同時に、一歩違う世界では殺し合いでしか達成されなかった筈のものは、幻想郷システムにおいては弾幕決闘によって解決します。事後は大宴会で決着するのですから、ニンジャが住む世界ではありえないことです。
そう考えると、この『ZINJASLAYER』は、決して交わることのない二つを混合させた、貴重な化学実験の結果と言えるように思われます。月と太陽、水と油……全く異質な要素を混ぜたことによる産物が、この合同誌と言えます。
スペルカードルールの貴重さと、弾幕決闘がなし得ることについて考えつつも、サツバツによってしか、エンタテイメンツ的カラテでしか得られないものとは何だろうと、沈思黙考してしまう何かを、この作品は与えてくれます。
『ハクレイ・ダンシング・オン・キュート・ストリート』(文/ろき)
ズルッ! ズルズルッ! ズルズルッ! おいしそうにソバを食べるフジキドマリサにMVPを差し上げたいです。その背後でオニとミコが凄惨な死闘を繰り広げている間に、この魔女はおそらくオーガニック=ソバを啜ってます。貪欲!
やや話は脱線しますが、このキュート(どうやら旧都らしくcuteではない)におけるマリサはソバをウマそうに食います。そしてオイナリとマグロスシを一口。ああうまい。しかしマグロの原産はどこでしょうか? 地底なのだから簡単に輸入はできないでしょう。
おそらくは地底バイオマグロを養殖しているか、もしくは幻想郷管理者の目を誤魔化して外界から密かに輸入していると見ることもできます。
ところで、ソバがある店だからきっとサケもあるでしょう。ならばソバとともに嗜むサケとして、マリサは何を頼むのでしょう? 私としてはビールを考えてみたいのです。
些かマイナーかもしれませんが、冷たいソバをズルルーッ! と食いながら飲み干すビールはとてもウマいです。特に夏であれば飲み物と食い物の感触が絶妙に絡み合って大繁盛。冷たいソバ! ビール! 糖質に糖質をプラスする危険技で魅力度高。
特に酒の〆がグッドです。一次会二次会と酒を飲み、小腹が空いた、三次会で終わりだしチョイとソバを一つ……そうだ飲み物がいる、チョイとビール……ズルルーッ! ゴクゴク! 夜が遅いなら罪悪感も至上なので逆説的に飯がウマくなります。
そしてマリサはソバを食いながら同時にビールを空けることで、おやおやちょっと肉がついたかな……そろそろダイエットしようかな……そんな風にオトメ・アトモスフィアを醸しつつも◆担当者はケジメされました◆
『ジンジャヘッズ・ウォントゥ・フォール・イン・チョメチョメ』(文/紅吏珠名 絵/ネヒツジ、蒼弓)
アイエエエ絵が二つもナンデ!? というゴージャスさが最初に目を引くSSです。内容は幻想郷にニンジャがアウトブレイクしたような状況でありながら、幻想郷成分がむしろニンジャに負けず劣らずでスゴイ! カワイイ! が満載です。猥雑はなかった。
この作品ではアトモスフィアが幻想郷とニンジャの混合のみで終わっておらず、ニンジャにありがちなサツバツでザッケンナコラー! を脇におき、幻想郷を土台にしてさくしゃさんの持ち味をフルスロットルにしたスタイルです。繰り返すが猥雑はなかった。
さながら紅白ケーキにアンコクトンを塗りたくってハチミツとキナコをまぶしたような荒業によって、読者によってはオーバードーズめいた中毒症状を示したりするので要注意です。東方とも忍殺ともつかないこの色合はまさしく二次創作にプラスアルファをしたさくしゃさんの持ち味!
同時に忍殺だけでなく各方面からパロディを持ち寄ったような文章スタイルはさくしゃさん独特の文章スタイルともとることができ、忍殺というワールドすらスタイルの一部に取り込まんばかりの姿勢に脱帽せざるを得ません。ゴウランガ!
個人的にはUNIX流入というアウトブレイクに、ウイルス風味という新鮮さが加味されて高得点! 一口に言ってカワイイを重視したエンタテイメンツなのでした。とは言え作品のフォーカスが個人に絞られているので戦略イクサより戦術イクサの割合が大きいです。
なのでより俯瞰したストラテジー空気が含まれるとますますハイレベルです。
ということで以上! 次回に続く!