がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

room-butterfly『ZINJA SLAYER』2013(3/5)

 ドーモ、皆さん。復路鵜です。本日で三回目となる『ZINJA SLAYER』の感想をお送りします。もしかして表紙にある霊夢の絵は、《金寄越せ》のサイン……!? 以下注意書きとなります。

 ◆以下に記されるのは作品の感想ですが、他の人が読む面白さを消去しないためネタバレはしない◆NRS重点のためよく分からない部分があってもそっとしよう◆してください◆でもキャラぐらいには触れる◆

 ◆よりよいNRSを供給したい◆しますね◆なおエピソード感想は分割形式なので今後何週間かにわたって掲載するのだ◆長期保存◆あとネタがわからない人はゴメンナサイ◆先触れ謝罪◆

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『レッド・ハウス・バーン・アウト』(文/海沢海綿)
 ヨウカイスレイヤーのレイムがコマカンというアカイパレスに攻め込む話ですが、ここで注目すべきはヨウカイスレイヤーの立ち位置が復讐に燃える殺戮者というより、並ぶ者のない鬼神と言う位置にあり、鬼として敵対者らにアタックするという点にあります。
 ニンジャスレイヤーの面白さは比類するところのないニンジャ世界や、IRCなどの近未来設定を用いたマシーン・アトモスフィアにあると見られます。もちろんキャラ同士の兼ね合いや、所々で挿入されるユウジョウやそれを破壊する行為も面白みの一部です。
 そしてそれらの面白さの一部を担うものとして、怪物らによる予想を覆し予測を破壊する戦闘シーンが含まれます。某狂戦士ほどに予断を許さないイクサの数々はカタナのように鋭いですが、この作品から抽出される面白さは、まさにその戦闘に該当すると見られます。
 余分な思想を排した闘争用マシーンを稼働させるがごとく、ショーギの最善手を求める修行者めいたタツジン同士の争いにおいては、動きを示す文字列そのものが美の一部となり、読者に磨き上げられたスリケンの如きイクサを提供してくれます。
 決断的な速度で行われるイクサを文字によってズームアップ、かつズームアウトし、そして勢いを殺さないまま内面描写や地の文による補足を織り交ぜることは、尋常の文章では難しいものですが、この作品では良好にフォローされています。
 そして文章による土台が出来上がると、開始されるのは一から十までのイクサです。戦争のように巨大な災害も見る人が見れば娯楽になりうるように、加速度的なイクサもまた、娯楽になりうるのです。
 人に関するあらゆる物を超越した世界で繰り広げられるのは、イモータルによるイクサです。そしてスレイヤーのハクレイ・レイムは、無慈悲さと戦闘スキルはまさに第一人者であり、あらゆる敵対者を最終的に滅ぼす巫女です。
 ニンジャスレイヤーは数多の協力者とともに戦うことを知りましたが、この巫女は一人で何もかもを消しされるように思えます。そしてその超然とした佇まいに、他者のユウジョウやギリニンジョが触れる事は、不可能に思われるのです。


『プレイヤーズ・ウィズダム・チャリティー・アンド・ブレイバリー』(文/プラシーボ吹嘘)
 刮目すべし! ここに顕然するは東方求聞史紀より起こされた数々のショウジョたちによる神話級イクサであって面白さ重点。小節ごとに挟まれるショウジョ名鑑は読者をリラックスさせつつも元キャラは誰かというミステリを惹起させてタノシイ二倍。
 合同誌において東方ニンジャワールドの広さはさくしゃさんの好みで決められますが、個人的にこれはゴージャスでウルトラが入ってスゴイ。名鑑からこれから起こるだろう事件・起こっただろうインシデントを推測させられるので良い。
 文章も一文一文が高度に整備されながらも拡大して全然違和感がないという点でスゴイが一層プッシュされます。
 ここでは終わりがないと思える程に何戦ものイクサが展開されますが、特段おすすめしたいのはウィッチスピードとカサコプターとの戦闘です。某靴に載っていた某黄昏などの戦闘描写に負けず劣らずの濃度が、読者にZBRを注射するが如きイマジネーション想起。
 それでありながらウィッチスピードの装備や挙動にぜんぜん違和感がない絶妙なキャラクターメイキングで小節ラストまで彗星の勢いで突っ走ってくれるので控えめに言ってフィーヒヒヒ! 背景に想像力を伸ばしたくなる文章は寝不足必至! ホウキシュゴイ!
 数多くのショウジョたちによるカワイゲ・イクサをプロモーションによって一ヶ所にまとめるという試みは、緊張感を損なわないままイクサ文章を推移させることに成功し、実際面白いので読み重点したい◆しよう◆とても面白かった◆
 あと古代アスカカワイゲによる魔技はとても気になりますが、死に気をつけて! カラダニキヲツケテネ!


『チェイシング・ザ・ナゾ・オブ・ザ・チョウ・ド-クラス・ギニョル』(文/鍵山白煙 絵/ぬこ)
 まさかの何もかもが途中で挿入される事態にわたしは困惑した! あまりにもテンションが違うので前の短編がバグったかと思ったが、頭を抱えてから前後とか目次とかを見て解決した。サプライズしすぎ。
 なんと二カ所に絵が挿入される豪壮さに目を剥かざるを得ませんが、不思議なのは彼女たちがニンジャ装束を身に纏わず、普段の服装で戦っていることです。言葉遣いだけニンジャに変えたという可能性は最初からデリートですが、もしや同ニンジャの目を誤魔化すための変装……!?
 この話に登場するのはチルノとアリス・マーガトロイドですが、この二人は偶然あるいは必然に誘われてイクサをしていたか? 是、あるいは否。むしろここで提起したいのは、他の暗躍者たちの監視から逃れるために、事前了承していたプロトコル通りに戦っていた事です。
 二人の戦いを監視するのは誰かと言えば……そう、確実にイクサを覗き見できる人物は、読者しかいません。暗躍者とはニンジャ以外にいない、つまり我々の周囲にはニンジャがいます。某MMRじみた陰謀論ですが、相手がニンジャであれば真実です。
 おそらくニンジャは現代日本に生息するだろう忍者に対抗するため、情報取得の一端として合同誌を入手したのでしょう! コワイ! そうした陰謀渦巻く世界には、おそらくミーミーめいた邪悪がはびこっているに違いありません。俺は詳しいんだ!
 あるいはこの短編は、外に潜むニンジャの他に、我々の内面に潜むニンジャ衝動への警鐘を鳴らすための物でもありえます。人間の内部には、否定しようのない暴力衝動が広がっている。もしその邪悪な衝動を利用する者がいるとすれば……!?
 そう、そんな隠秘な心情をついて我々を貶めようとする者がいるとすれば、それはやはりニンジャに他なりません。なぜなら彼らはニンジャだからです。我々を闇の世界に取り込もうとするニンジャを牽制するため、この作品が作られたとすれば……ゴウランガ!
 隠しようもない事実ですが、我々の周囲にはニンジャという名の闇の勢力が広がっています。恐るべきイクサにいつ巻き込まれるかも知れません。この悲嘆すべき事実ですが、我々生ある者は、モータルの義務として、この邪悪に抗わなければなりません。
 あるいは話をつくったひとそのものがニンジャであり、読者にニンジャの脅威を過小評価させるための陰謀であるとも考えられます。いずれにせよ根深い陰謀が広がっています。備えよう。

 ということで以上! 次回に続く!