がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

ハンニバル(ネタバレあり)

作:トマス・ハリス
訳:高見浩
ネタバレ部分は文字色を変えてあります。


作者のハリスはこの作品で四作目だそうですが、一桁分しか本の発行をこなしていないとは考えられないほど完成度が高いです。
少々建物等の描写に関しては濃すぎるような感じもありましたが、サスペンスやアクションパートがすらすらと読みこなしていけるので、あんまり気になりませんでした。所々で挿入される残虐描写も本の雰囲気作りに役立っていると思えます。生きた人間を豚に食わせる所や、頭蓋骨の上半分を蓋のようにとって、中の脳みそをおいしくいただいてしまうところとか。
この本に続く話として、未読の『レッド・ドラゴン』や『羊たちの沈黙』が発刊されていますが、そっちを読まなくても内容についていくことはできました。安堵。ただきっちりと理解したいのならば、前編の方も読んだ方がいいかもしれません。
面白い話だったのですが、最後らへんでどうにも腑に落ちない所があります。
どうしてクラリスレクター博士と行動を共にするようになったのか? また、どうしてクラリスはクレンドラーの脳みそを食べることに抵抗を覚えなかったのか? 催眠術でレクター博士が操っていたとしても、ある程度の限度はあるのでは? どうも説明不足なのか、そこらへんがよく分かりません。
と言った感じです。これさえ除けば私的にも最高ランクの本だと思うので、余計に勿体無く思えます。
80点。