がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

Live A Live

・現代編
初めてクリアしたシナリオ。
音楽が最高。下村さんはスト2LOMでもよい曲を作られていますが、本作でも遺憾なくその才能を発揮されています。
戦闘システムも一風変わっていて新鮮味があり、現代編のラーニングシステムと相まってゲームしてた感じ。
ストーリーは……まあないに等しかった(笑)。


・SF編
ライブ・ア・ライブの中では群を抜いていたシナリオでした。
宇宙船という閉鎖空間の中で進行する殺人劇。疑心暗鬼に陥っていく船員たち。それを客観的に見つめるロボットが主人公、というアイディアも秀逸でした。
小道具や効果音、音楽の使い所も絶妙。特に、暗い物語の中で違和感すら覚えたお気楽な遊び道具が、あんな風にシナリオに絡むとは思いませんでした。たった数ドットのベヒーモスの恐怖は心臓凍ります。船長の「それはお気の毒に」という台詞も背筋に電気が奔ります。
非の打ち所のないシナリオ。このゲームは不親切設計が目立ちますが、このシナリオだけは全くストレスなくプレイできました。


・西部編
現代編に似た印象のあるシナリオでした。
つまり、実験的なシステム+秀逸な音楽、ストーリーはおまけ(笑)。
このシナリオに限らず、ライブ・ア・ライブって実はすっごいバカゲーだと思うんですが、音楽が格好良すぎて上手く誤魔化せてますよね。
幕末編と並んで、ライブ・ア・ライブの中で屈指に面白いゲームシステムでした。
3人組の数によって音楽が変わる演出もイカス。
つむじ風が、アルマジロがゴロゴロしてるように見えたり、バーの扉の演出が無駄に凝ってるのもご愛敬。ミルクをがぶ飲みしても腹を壊さないサンダウンは、実はサモ以上の大食漢かもしれません。
ただ、選択肢がいくつか出てくるのですが、その内片方を強制的に選ばされる場合が殆どなのは、せっかく自由度の高いシナリオなのに、やらされてる感を覚えてしまってやや不満。


・幕末編
ヒジョーに自由度の高いシナリオ。
敵を殺すも殺さないも、任務を全うするも放棄するもプレイヤー次第。
欲を言えば、任務を放棄した場合もクリア扱いにして欲しかった。
サクサク進めます。小ネタも多く、スルメゲーな内容になってます。
隠しボス強いです(涙


以上4編が、実験的要素の強いシナリオだと思います。
ていうかSFは戦闘1回、西部は3、4回、現代は戦闘7回しかないです。


功夫
で、以下3編が、いわゆる「RPG」に近い内容になっています。
その中でも功夫編は最もオーソドックスな内容。
仲間の、そして師匠の仇を討つために主人公が奥義に目覚めるというシーンは王道ながら心が震えました。
長さとしては、DQ4のライアンの章くらいでしょうか。
ただ、システムを理解していない初回のプレイだと思わぬ結果を招くことが多いと思いますので、結局2回プレイさせられるハメになるのは、やや不親切かもしれません。


・原始編
王道のRPGですが、原始という設定を踏まえ「会話がない」という試みを取り入れたシナリオ。
面白いとは思うのですが、おかげで際だって不親切なシナリオになってしまいました。
言葉がないために説明が分からず、何をすればよいか分からなくなってしまったり、イベントを進めるのに必要なアイテムが揃っていない為に、何度も戦闘して調達することになったりします。
ハッキリ言って、攻略情報なしでは、相当のゲーマーでない限りクリアできません。
ばりどりーんの人はお下品で笑えました。


・近未来編
こちらも通常のRPGに近いですが、Yボタンで相手の心が読めるという試みが取り入れられています。
試み自体は面白いんですが、正直人々の台詞が投げやり過ぎて、敢えて心を読もうという気になれません。
「苦しい」「悲しい」「楽しい」といったテンプレ通りの一言しか読み取れませんし、使い回しも非常に多い(普通の会話自体が使い回し多いのですが)。
燃えを意識したシナリオだと思うのですが、余りに説明不足で置いてきぼりを喰らった気分でした。
原始編と近未来編を担当したのは、時田さんではなくて、井上信行さんという方のようですが、どうもこの方のシナリオとは相性が悪いみたいです。
相変わらず下村さんの音楽は神です。


・中世編
曲が格好良すぎる!
シナリオ展開も考えられていて、いわゆる王道ファンタジーから暗転して、勇者が魔王になるという展開が待っています。
ただ、衝撃的、という程ではなかったかな。スクウェア作品では既に七英雄というダーティヒーローが存在していますし、あちらの方がシナリオは練り込まれています。
個人的には、ストレイボウを明確な悪役にしたのがとても不満でした。
彼はアリシアと結ばれたい一心でオルステッドを騙したけれど、それからはアリシアと静かに暮らしていただけだった。オルステッドが誤って王を殺したのは彼とは関係ない出来事だった。とした方がアリシアストレイボウを愛した心情も理解しやすくなりますし、オルステッドが背負った「親友殺し」という十字架もより重くなったのではないでしょうか?
どうにもこの二人の心情は理解しがたく、最終編で心の声を聞いても白々しいとしか思えませんでした。


・最終編
全員が集結して悪と化したオルステッドを討つ! というシナリオですが、やはり不満点が多し。
歴史は勝者が築き上げているではないか、なぜ我々は敗者なのだと主張するオルステッドに対し、7人の英雄達は「愛」とか「心」と返答していますが、どうにも答えになっていません。
更には、それで納得してしまうオルステッドにがっかりでした。近未来や西部のボスは明確に悪でしたが、原始や功夫のボスは主人公とやってることに変わりがありません(原始は種の生存競争でしたし、功夫は弟子の仇と言って相手の一門を皆殺しにしてるんですから世話ないです)。
歴史の敗者は悪になる(される)というテーマを提示しておきながら、結局は「悪を倒した! バンザイ!」という終わり方をされるのは、オルステッドに救済がないことと相まって非常に不満です。それを狙ったシナリオにしたいのでしたら、最後までオルステッドには主人公の考え方を否定し続けて欲しいところでした。この辺、シナリオライターの考えが足りなかったところだと思います。


総じて、ライブ・ア・ライブは実験的な要素の多い意欲作だと言えると思います。近年のゲームには見られなくなった、ゲームらしいゲームとしての楽しさを味わうことができました。
所々にシステムのあらや、不親切な部分が残ってしまっているのは残念でしたが、制作スケジュールの問題もあったでしょう。
ただ、(7人のキャラクターデザインを担当した漫画家さんの意向を無視できなかった、という点もあるんでしょうが)核となるストーリーのお粗末さは制作時間で言い訳できないレベルだったと思います。
SF編のような素晴らしいシナリオもあるんですが、全体としては「7人の仲間が時を超えて集う」「勇者が魔王に」といった記号の提示だけに終始してしまい、それらを煮詰められていません。悪く言えば子供だましでした。
とはいえ、音楽は当時の大作RPGに見劣りしない完成度でしたし、「ワタナベ親子」など楽しいギミックもたくさん盛り込まれています。悪く言えば確かに「子供だまし」なんですが、逆に言えば「子供を対象にした楽しいおもちゃ箱」と言うこともできるかと思います。