がらくたマガジン

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東方陰毛合同 はずかしいおけけ その一

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 久しぶりの日記が十八禁作品というしょうもない始め方に我ながら意気消沈する思いですが、それはともかく表紙のひじりんがとてもとてもかわいらしいと思います! でも本文内に出てないのはちょっとした詐欺だと思います。泣いてもいいですか。えっダメなんですか心が狭いですね。
 掲載順に全作品のあらすじ+レビューをしていきたいと思います。でも苦手な作風の物は文章がやや短くなるかもしれません。見て行きましょう。全四回掲載となります。


『越えれない少女』文:文車でみせ 絵:夏海あきら
:地底の猫と烏は大の仲良し。夏は湖で共に人魚となり、秋は向い合って焼き芋を頬張る。猫は烏を想っていく。その心は烏が八咫の神に取り憑かれた後でも変わらず。
 寂しさを文体に残した物語でした。夏や秋と触れ合いの日々を過ごし、行動そのものは溌剌そのものである少女は、けれど内面にどこかしらの嘘寒さを抱え、何かしら見過ごせないものを裡に溶かしながら、ただその日その日を満喫しようと努めます――烏の体におけけが生えてくるまで。何かしらの楔のように、不変の象徴のように揃った毛の塊は、しかしてその存在そのものが少女たちの体に変質というものを体現させており、その歪み/ズレ/すれ違いを敏感に少女のは感じ取ります。それを過ぎたものとして飲み込もうと努力するくだりには、思春期の少女全体が抱えるどこか虚ろな物を感じさせ、行われる性交にも端々に虚しさが通り過ぎます。中身がからっぽの人形のような寂しい雰囲気は始まりから終わりまでずっとそのまま。ただただ温かくも寂しい作品。
 ただ、文章量が少ないために具体的なエピソードが少なくなってしまい、それがインパクトを盛り下げてしまっている点がやや残念。素材や捉え方はとても好みに感じられましたが、文章量のせいか若干薄い印象の作品となってしまったことに惜しい感覚があります。
 あとタイトルについては、突っ込んだら負けでしょうか……


『嘘つきの福音』文:過酸化水素ストリキニーネ 絵:蟻吉げん
:吸血鬼の姉は突き動かされるように魔力を濫用し、大図書館に入り浸って何かを探し始める。詰問する魔女、はぐらかす姉。一方妹は姉を慮り、メイドと共に姉のために何かをしはじめる――それは過去へと遡る物語。
 姉の章から妹へと続き、最後に姉妹へと収束していく短編。二人の間は離れているような、互いに別々の方向を向いているようでありながら、でもやはり最後は同じところを見ていました。そういう予定調和的な所、嫌いではありません。過去に何があったとしても、現在彼女たちが姉妹であるのなら、それは問題にならないのでしょう。仲良き事は美しき哉。途中で魔女が口出しする必要があったり、破滅的な料理の腕をメイドが補佐しなければならなかったりと、厄介な点はいくつかありますが、それでも彼女たちが平和に暮らせているのなら、それが全てであるのでしょう。過去がどれだけ陰惨であっても、現在からどれだけ乖離した環境に取り囲まれていたとしても、どれだけ二人が不器用で畸形で、助けがなくては寄り添い合うことすらおぼつかないとしても。
 おけけの所在を単なる性具や青春の象徴としてでなく、別方面の目的に引用した点は、物語によりシリアスな効果を与えるものがありました。
 それにしてもこの吸血鬼たち、随分と人間と思考回路が似ているようです。人の形をしているからでしょうか。


『おとな』文:ほむら 絵:椎名聖
:博麗神社へと赴いたアリス・マーガトロイドは、とある人形の弔いを依頼する。人形が抱えた念、また時間を要する準備のため、弔いには数日程必要であった。そこでアリスは神社に泊まりこみ、霊夢に付き添うことにした。二人の間に流れる、『おとな』としての境界線。
 前二作がどこかしらカーブボール気味だったのではありますが、今回はあくまでシンプルなおけけの話。アリスと霊夢が過ごす三日間は、どこかしらの淡さと桃色を湛えた日々でもありました。おけけから想起されるおとなとこどもの境界線、その艷やかさを含めながらも子どもっぽく、曖昧な線の両側に位置する二人は、時に手を繋ぎ、時に絡み合いながら互いの想いを確認し合います。快楽を伴う睦み合いは思考を溶かし、越えてはいけないような線を薄めながら過ぎていく。性を跨いだ二人の少女はどこかおとなというものを自覚しながら、自分の日々に戻っていきます。
 恥ずかしさを伴う二人の行為はまさに合同のタイトルの如く、はずかしいおけけ模様でした。ご馳走様です。
 あと一番かわいいと思うのは章始めの幼女アリスの絵だと思うのですが!!!!11!!!!1!!111!!


『貴方を思い』文:かーくん 絵:くろざこ
:神霊異変以降、蘇我屠自古は悩みを抱えていた。自身の能力不足に対する自虐、また夫婦である太子に対して関係を結ぶ面で役に立てていないことに。それを感づいていた豊聡耳神子――太子は、彼女なりの算段を立てて青娥娘々に相談するが、事態はやはり思わぬ方向へと転がっていく。
 やった! 神霊チームだ! これで勝つるかどうかは不明ですが、とりあえず嬉しいです。それは置いといて、思考が独り歩きする屠自古さんがかわいいですし、悪魔的にちょっかいを出したり夫婦の秘め事に平気で顔を出せる青娥さんがマジパないです。布都はそのへんでうむうむ頷いているだけで味が出るので良いです。芳香はよく分からない顔してチーズとソーセージを交互に食べているだけで満足なので構いません。あ、ソーセージはごんぶとでお願いします。脱線し過ぎましたね。
 直球ストレートに愛を打ち立てた今作では、おけけそのものが重なりあいの役に立つ特殊な方向性を帯び始めます。詳細は作品を読んでいただくとして、当該シーンは淫猥さと悪戯心が同居しながら、色香を放つ不思議な空間を演出しているものとして個人的に評価が高いです。まさに褥って感じですよね。息があたってひくひくと動く所とか最高じゃないですか!
 雨降って地固まる如く、何か問題が起きて解決することで、より仲が深まるのは物語の鉄則でもありますが、今作のエピローグは全員一丸となりつつも、各キャラの個性がきちんと表出されており、なかなかに微笑ましい締め方となっておりました。みんな親密って良いですよね。下の方の意味じゃなくて。