がらくたマガジン

小説を書いたり、読んだり、勉強したりするブログです。執筆者紹介  (復)=復路鵜執筆  (K)=春日 姫宮執筆

東方陰毛合同 はずかしいおけけ その二

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 二週目となる今回もやっぱり十八禁なので、お子様は帰ってお子様用シチューを食べよう! ちなみに私はシチューはご飯にかけて食べる派です。いちいち分けておくのって面倒くさくね?




↓この先、一おけけ(おけけの長さを表すのだが、大抵の人はそんなものを気にもとめない)




『忌むべき教えよ、道となれ』文:久我暁 絵:STR
:退治すべき妖怪と睦み合い、体と体の繋がりを持っていた霊夢は、ある時自身の生命が不確かであることを悟り、人の座を崩すことなく不老に至る道はないかと心を惑わせる。そこに闖入するのは邪仙霍青娥、彼女はある条件を備えた下の毛を用意すれば、人でありながら不老不死に至れると嘯き、霊夢を誘惑する。
 読み終えた後で、食らった不意打ちにやや呆然となりました。文章ド頭のショックもさることながら、中盤での陵辱と恥辱による化かし合い、そして終盤のどんでん返し。私が持っていたある種の常識を打ち破るような、ある面において破天荒な作品でもありました。これまでおとなの象徴や変化の具現化と、やや特殊用途として用いられてきたおけけは、この作品においてはひたすらに人の良識を潰しまわる性具と化して現れました。紙面全体に匂いたつ激臭は読者を威嚇するような、それでいて誘いかける劇物として在って、ただこれでもかこれでもかという淫猥がページの中に広がります。スゲー。
 この人物たちの一年後を、できれば外から観客として眺めてみたいものです。


『害虫』文:きゃんでぃ 絵:浜原義雄
:時間と宇宙の創世の話から始まる講義、食人の犠牲者は十数人を超え、『先生』は森で美しい少女を拾う。美しい少女は自身に擦り寄る愛らしい子猫を足で踏み潰し、骨を砕き肉を磨り潰す。君はメリーじゃない。ごめんなさい。少女と不老不死との間には鉄火場と修羅場を二乗して竜巻に投げ込む闘争が行われ、外宇宙の中座に女性は座る。少女の名前はきりさめまりさと言った。
 長期間を土蔵に保管されていた作品の如き古めかしい文体である今作。とにかく難読と術語と用語の群れが迫り来るようなので、辞書を引きながら悪戦苦闘のアバババーッ(バグりました)! その結末として得られたものは、なんとなくストーリーを掴めたようなモヤモヤさであり、寂寞を極める夢幻の向こう側に座視して我らを睨めつける名状し難い憂鬱な物体は張り裂けるが如き悲鳴を上げながらおぞましい軌道を描いて頭上に想起し……うーん、難しい。こちらの固定観念を引きずり回して投げ飛ばすような作品ではありますが、ひたすらに錐で小さな穴を穿ち続けるような雰囲気が続くため、なかなか気力が保ちませんで。もう数年経ってから読み返すと新たな発見があるかもしれませんが、それにしても輻輳してました。
 あとこの作品、おけけどこですか……?


『巫女と薬は使い様』文:ネコ輔 絵:元十郎
:偶然迷い込んだ永遠亭にて狼藉を働くは、コソ泥男此処にあり。何の因果か覗き魔と勘違いされて捕まった男は、自由の代償として、そして己の汚名返上のために博麗神社へと向かう――
 マイルドに素敵な仕上がりでした。コソ泥男の一人称ストーリーは二転三転しながら博麗神社へと進みつつ、そこでの狼藉に至る……のですが、そこまでの道筋が楽しく読めて、かつ笑えました。適度に挿入されるギャグに肩の力を抜き、かつ回想シーンを用いたギミックでは笑い、飽きること無く最後まで話に付き添うことができました。人物たちの行動や心情も満足の行く仕上がりで、コソ泥男は抜けていたり真面目だったりと感情に広がりがあり、永琳先生は天才っぷりを存分に発揮し、鈴仙はそんな師匠にどこまでも振り回されます。伸びやかに走り回る人物たちは良い具合に作品を鮮やかにしてくれました。
 ただ霊夢については単になすがまま、という状態が強く、あまりに受け身すぎると思われる点も。ぐぬぬ。もう少し彼女が活躍するか、あるいは度肝を抜く行動をしてくれると、よりストーリーが栄えたのではないかと思われます、ということで。
 それと永琳先生の挿絵がきれい! 可愛い!! 触りたいです!!1!


多々良小傘の場合』文:はるぴー 絵:けんぴ
:ある夜中、一人の少年に襲いかかった小傘は、想像を絶する手段で撃退された。ミスティア・ローレライに相談した彼女は手段に対する対処法を編み出し、少年との再戦に挑む。
 こっ、こっ、小傘だァー! ついに小傘が来たァァー!! というほどでもないですが、多々良小傘がかわいい作品でした。というかストーリー抜きにして可愛さだけ強調しても別に良いんじゃない……!? あの柔らかそうなほっぺたをぷにぷにしたりちょっと目とか突きたくなっちゃいます。くるくる回す傘に泥とかぶつけたりとか。個人的にこの合同でのベスト作品でした。愛嬌と恐怖を同時に振りまく小傘が少年にやられて七転八倒するシーンも、ミスティアに鼻息荒く再戦を誓う情景も、二戦目での少年からの攻撃に耐え忍ぼうと小傘が涙目になる場面も、丸ごとすっぽりお気に入りです。絵と文も見事にシンクロしており、文章の内容を漫画にしても、しっくりと動いていくことでしょう。絵と文が良い感じにシンクロすると、まさに破壊力倍増です。思いもよらないパロディ、戦いを通り抜けてたどり着く所、それらに見事な愛着を見ました。あとがきによれば時間がないまま仕上げた作品のようですが、そんな切迫した感じを与えない書き口であり、美味しくいただきました。是非ともご賞味を。